更新日時:2025年4月8日
一般社団法人みつばち協会ではJRA畜産振興事業助成事業の助成を受け「養蜂GAP」に取り組んでいます。期間は令和6年から令和8年3月31日までです。

養蜂GAPとは?
― 安心・安全な蜂蜜づくりの新しいスタンダード ―
私たちが口にする蜂蜜は、自然の恵みそのもの。
でもその一方で、「どんな場所で?」「どんな方法で?」といった生産の背景が、見えにくい食品でもあります。
そこで今、注目されているのが「養蜂GAP(ようほうギャップ)」という考え方です。
GAPとは「Good Agricultural Practices(農業生産工程管理)」の略です。
簡単に言えば「農作業や管理を見える化し、安全で持続可能な方法で行うための仕組み」です。
このGAPを、養蜂に合わせて整えたものが「養蜂GAP」です。
蜂蜜やミツバチ製品の信頼性を高め、消費者の安心につなげる新しい取り組みとして、全国の養蜂家の間でも導入が広がり始めています。
養蜂GAPのメリット
🐝 1. 安心・安全な蜂蜜を届けられる
給餌やダニ薬の管理、採蜜や瓶詰め・ろ過の方法、清潔な保管・出荷の手順など、一つひとつの作業にルールを設けて記録することで、「どう作られた蜂蜜なのか」がはっきりわかるようになります。
これにより、消費者にとっても安心して選べる蜂蜜になります。
🌱 2. ミツバチや環境にもやさしい
ミツバチの健康管理、周囲の環境への配慮も含めて、持続可能な養蜂のあり方を考えるのがGAPです。
自然と共にある養蜂だからこそ、次の世代に引き継げる形を整えていくことができます。
🤝 3. 差別化と信頼のアピールに
養蜂GAPに取り組むことで、生産者としての信頼度がアップし、卸先や販売先との信頼関係も築きやすくなります。
「きちんと管理された蜂蜜ですよ」と説明できることは、大きな強みになります。
みつばちと人が、これからも共にあるために
「GAP=大規模養蜂向け」と思われがちですが、実は小規模でもできる取り組みから始められます。
帳面をつける、道具を整理する、巣箱の場所を記録する――そんな一歩が、すでにGAPのはじまりです。
みつばち協会では、これから養蜂GAPを取り入れたい方へのサポートや講習会を行っています。
自然と調和しながら、信頼される蜂蜜づくりを一緒に広げていきましょう。

養蜂GAPの始め方
― はじめの一歩は「記録」から ―
「養蜂GAPって難しそう…」「大規模じゃないとできないのでは?」
そんな声をよくいただきます。
でも実は、養蜂GAPのスタートはとてもシンプル。
日々の作業を「見える化」することから始まります。
Step 1:まずは記録をつけてみましょう
たとえば、こんな内容から始めてみましょう:
- 巣箱の場所や数
- 採蜜や給餌を行った日付
- ミツバチの様子(女王蜂の有無、病気の兆候など)
- 使用した道具や薬剤の管理
最初はノートでも大丈夫です。
「自分の養蜂を、あとから誰かに説明できるか?」を意識することが、GAPの基本です。
Step 2:道具や巣箱を整理整頓
作業場所や使用する道具を、清潔に、安全に保つことも重要です。
たとえば:
- 使った器具をきちんと洗って片付ける
- 巣箱まわりに余計なものを置かない
- 異物が蜂蜜に入らないように気をつける
こうした“いつもやっていること”を、「GAP」として意識するだけでも立派な一歩です。
Step 3:作業の流れを見直してみる
「なぜこの作業をこの順番でやっているのか?」「より安全にするにはどうすれば?」
そんな“気づき”が、GAPを進化させてくれます。
養蜂GAPの目的は、“正解”を押しつけることではなく、それぞれの養蜂に合った、安心・安全な方法をつくっていくことです。
Step 4:仲間や専門家と情報交換
ひとりで考えるのが難しいときは、他の養蜂家や講習会、みつばち協会のサポートを活用してみてください。
現場で実践している仲間の声を聞くことで、自分のやり方を客観的に見直すことができます。
小さな一歩が、大きな信頼につながる
GAPは「安全・安心のためのチェックリスト」であると同時に、**自分の養蜂を守る“道しるべ”**でもあります。
今あるやり方を急に変える必要はありません。
まずは、できることからコツコツと。
私たちみつばち協会は、皆さんの一歩を全力で応援しています!